朝、保育園の入り口でしがみついて泣くわが子。先生に抱っこされて手を伸ばす姿を見ながら、後ろ髪を引かれる思いで園を出る。慣らし保育の時期は、子どもだけでなく、ママにとってもつらい時間ですよね。
こんなことで困っていませんか?
- 毎朝、別れ際に大泣きされる
- 泣き声が頭から離れず、預けている間も落ち着かない
- 泣かせてまで預けていいのか、罪悪感がある
- 仕事復帰が迫っているのに、なかなか慣れなくて焦る
保育士として10年以上、たくさんの子どもたちの慣らし保育に関わってきました。最初にお伝えしたいのは、慣らし保育で泣くのは自然なことで、多くの子は少しずつ慣れていくということです。
この記事では、泣く理由、泣いて別れたあとの園での様子、慣れるまでの流れ、そして親ができることを、保育士の目線でお伝えします。
慣らし保育で泣くのは、あなたのせいじゃない
泣くのは、ママと離れるのがさみしいから
子どもが泣く一番の理由は、知らない場所で、安心できる人と離れることへの不安です。見慣れない部屋、初めて会う先生、たくさんのお友達。大人でも、知らない場所にひとりで置いていかれたら心細くなりますよね。
裏を返せば、泣くのはママやパパを「安心できる人」だと感じている証拠でもあります。泣かれるのはつらいですが、それだけ親子の信頼関係が育っているということです。
泣かない子も、心配いりません
反対に「うちの子は全然泣かなくて、逆に心配」という声もよく聞きます。泣かない子は、新しい場所への興味が勝っていたり、気持ちを表に出すまでに時間がかかったりと、理由はさまざまです。泣く・泣かないで、親子の関係の良し悪しが決まるわけではありません。
泣いて別れたあと、園ではどう過ごしている?
ママが一番気になるのは、ここではないでしょうか。泣いたまま別れると、「ずっと泣いているのでは」と心配になりますよね。保育士として見てきた、別れたあとの子どもたちの様子をお伝えします。
別れた直後
ママの姿が見えなくなってしばらくは、泣き続ける子が多いです。保育士は抱っこやおんぶをしながら、「さみしいね」「ママ、お迎えに来るからね」と気持ちを受け止めます。無理に泣きやませようとはせず、まずは安心してもらうことを大切にしています。
少し時間がたつと
泣きながらも、周りのおもちゃやお友達の様子を目で追い始めます。保育士はそのタイミングを見て、好きそうな遊びに誘ったり、窓の外を一緒に見たりして、少しずつ気持ちを切り替えるお手伝いをします。気づいたら泣きやんで遊んでいた、ということもよくあります。
お迎えの前
お迎えの時間が近づくと、ドアのほうを気にしたり、ママの姿を見た瞬間にまた泣いたりする子もいます。これは「やっと会えた」という安心の涙です。一日中泣いていたわけではないことがほとんどなので、安心してくださいね。
園での様子が気になるときは、お迎えのときに先生に聞いてみてください。「何をして遊んでいましたか?」「泣きやんだのはどのくらいでしたか?」と聞くと、具体的に教えてもらえますよ。
慣れるまでの期間と流れの目安
慣らし保育は、短い時間から始めて、少しずつ園にいる時間を延ばしていきます。期間は1〜2週間ほどの園が多いですが、園の方針や子どもの様子によって変わります。
よくある流れの一例です。
| 時期 | 園で過ごす時間 | 内容 |
|---|---|---|
| はじめの数日 | 1〜2時間 | 遊びの時間だけ過ごして、お昼前にお迎え |
| 慣れてきたら | 午前中〜お昼過ぎ | 給食まで食べてお迎え |
| さらに慣れたら | 午後まで | お昼寝まで園で過ごす |
| 最後に | 通常の保育時間 | おやつまで食べて、ふだんの時間にお迎え |
子どもの様子を見ながら、園と相談して進めていきます。給食やお昼寝のところで、少し足踏みする子もいます。
途中で休むと、振り出しに戻ったように感じることも
慣らし保育の時期は、新しい環境で体調を崩しやすい時期でもあります。熱を出して数日休むと、また泣くようになることもよくあります。せっかく慣れてきたのに…と落ち込みますが、一度慣れた経験は残っているので、最初よりは早く戻ることが多いですよ。
親ができること:今日からできる5つの工夫
1. 親が笑顔で、楽しい気持ちで送り出す
保育士としていちばんお伝えしたいのがこれです。子どもは、親の気持ちをとても敏感に感じ取ります。ママが不安そうな顔で連れて行くと、子どもも「ここは不安な場所なんだ」と感じて泣いてしまうことが多いんです。
家を出るときや園へ向かう道で、「楽しいところに行けるよ」「お友達と遊べるよ」「今日は何して遊ぶかな」と、明るい言葉をかけてあげてください。ママ自身が不安なときこそ、ぜひ意識してみてほしいことです。
心の中は不安でいっぱいでも大丈夫。表情と声だけ、ちょっとだけ明るくしてみてください。それだけで、子どもの受け取り方は変わります。
2. 別れ際は短く。こっそりいなくならない
泣かれるのがつらくて、子どもが遊んでいるすきにこっそり帰りたくなる気持ちはよく分かります。でも、気づいたらママがいない経験をすると、子どもは「いつかいなくなるかも」と不安になり、かえって離れにくくなります。
「お仕事に行ってくるね。お昼ごはんのあとにお迎えに来るよ」と、いつ迎えに来るかを伝えて、笑顔で手を振ってさっと離れるのがおすすめです。何度も戻ったり、長く抱きしめ続けたりすると、別れがよけいにつらくなります。
3. 起きる時間とお昼寝を、園のリズムに近づける
慣らし保育が始まる少し前から、朝起きる時間やお昼寝の時間を園の生活に近づけておくと、子どもの負担が減ります。眠い、おなかがすいたという状態は、それだけで泣きやすくなるからです。
4. 家での様子を先生に伝える
好きな遊び、好きなキャラクター、寝かしつけのときのくせ、安心する抱っこの仕方。家での様子を先生に伝えておくと、園でも子どもが落ち着きやすくなります。連絡帳や送り迎えのときに、気軽に伝えてみてください。保育士にとっても、とても助かる情報です。
5. 帰ってきたら、たっぷり甘えさせる
園でがんばった分、家に帰ると甘えん坊になったり、ぐずったりすることがあります。これは、家で安心して気持ちを出せている証拠です。家事は少し手を抜いて、抱っこやスキンシップの時間を多めにとってあげてください。
あると安心な物
- お気に入りのタオルや小さなぬいぐるみ:持ち込めるかどうかは園によるので、事前に確認しましょう
- 着替えやすい服:自分で脱ぎ着しやすく、先生も着替えさせやすい物が喜ばれます
- 名前つけグッズ:持ち物すべてに名前が必要な園が多いので、服用のお名前シールや、おむつ用のペンがあると準備がぐっと楽になります
つらいママへ。気持ちの整え方
罪悪感は、持たなくていい
泣いている子を預けて仕事に行くことに、罪悪感を持つママはとても多いです。でも、保育園は子どもにとって、お友達や先生と過ごし、たくさんの経験ができる場所でもあります。慣れてしまえば、園での時間を楽しみにする子がほとんどです。
預けることは、子どもから何かを奪うことではありません。ママが働くことも、休むことも、大切にしていいことです。
空いた時間は、休むことに使っていい
慣らし保育の間は、急なお迎えにも対応できるよう、予定を詰め込みすぎないのが安心です。そのうえで、空いた時間は復帰に向けた準備をしたり、ゆっくり休んだりして過ごしてください。復帰後は自分の時間がとりにくくなるので、今のうちに家事をラクにする方法を考えておくのもおすすめです。
こんなときは、園に相談を
慣れるまでの期間には個人差がありますが、次のようなときは、ひとりで抱えこまずに園の先生に相談してみてください。
- 何週間たっても、泣き方や様子がまったく変わらない
- 家でも元気がない、食欲が落ちている
- 夜泣きや、朝起きたときの嫌がり方が強くなっている
「家ではこんな様子です」と具体的に伝えると、先生も園での様子と照らし合わせて、一緒に考えてくれます。体調面で気になることがあれば、かかりつけの小児科にも相談しましょう。
わが家の場合
わが家の子どもも保育園に通っていて、今では毎日楽しそうに登園しています。慣らし保育の時期を思い出すと、親子で少しずつ園に慣れていった日々だったなと感じます。
今、毎朝泣かれてつらい思いをしているママも、きっと「楽しそうに登園してくれる日」が来ます。
まとめ:まずはこれだけ試してみて
慣らし保育で泣くのは、子どもが新しい環境に一生懸命向き合っている証拠です。ママのせいではありません。
まずはこの3つから
- 「楽しいところに行けるよ」と、笑顔で明るく送り出す
- 別れ際は短く、こっそりいなくならない
- 帰ってきたら、たっぷり甘えさせる
泣かれてつらいときは、「今、この子は新しい場所に慣れようとがんばっているんだな」と思い出してみてください。がまんしすぎず、先生にも頼りながら、親子で少しずつ進んでいきましょう。
